発達障害の中で、不注意、衝動性、多動性の特性で生きづらさを感じるADHD。
そんな一生治ることの無い障害ですが、そんな特性を和らげるためのADHD改善薬として
- ストラテラ
- インチュニブ
- コンサータ
の3種類があります。
私は全て試したことがあるのですが、今回はコンサータ(18mg)を服用して気付いた点や改善されたと感じたことを書いていこうと思います。
ただ私はADHD・ASD併発型のため、
ADHD単体型の人と同じ効果が得られるとは限らないと予想されますので、その点はあらかじめご了承の上で参考にしてください。
特性に個人差があるように薬の効果にも個人差があります。
これから服用を考えている方は期待せずにあくまで参考程度にご覧ください。
目次
最初に知っておいてほしいこと
ここはすでにコンサータを処方・服用されている方は飛ばしていただいて問題ないのですが、
この記事をご覧になっている方のほとんどが
- コンサータを服用したことがない
- 通院しているが処方して貰ったことがない
- これから処方をお願いしようと思っている
という方々だと思います。
そんな多くの方がコンサータに期待していることと思いますが、
コンサータ服用を希望しても処方して貰えないケースがあることを知っておいて欲しいです。
これは2019年頃からコンサータの処方条件が厳しくなったことが理由で、下記のやや厳しい条件ができました。
- 確実にADHDであると確定診断を貰う必要がある
- 診断から半年経過しないと患者登録の申請ができない
これは簡単に言えば、グレーゾーン(ADHD疑い)だと医師に判断されてしまったら処方してもらえないということです。
確実にADHDである診断を受けてから半年経過すれば、コンサータ処方の患者登録の申請ができます。
ただ次に重要なのが、
上記の条件の他にコンサータを処方できる認定医師に診察してもらうことが絶対条件ということです。
コンサータはすべての医師が処方できるわけではなく、
せっかくADHDの診断を受けても『コンサータを処方できない医師(病院)』だった場合、別の病院を受診し直さなければならないという非常に面倒なことが起きます。
発達障害外来はただでだえ初診予約が取りづらい上に、
- そもそも初診を受け付けていない
- 予約できても数ヶ月〜1年待ち
- コンサータを処方できる医師がいない、少ない
といった病院が多いことが一般的。
最初の段階で病院選びに失敗すると絶望です。
そのため、これから診断してもらう病院を選ぶ際「コンサータの処方ができる医師がいるかどうか」ということをあらかじめ知っておくことは重要です。
ただ晴れてすべての処方条件をクリアできても
- 最初のうちは処方を渋られる
- そもそも処方自体を断られる
ことがあります。
医師によりますが、コンサータが依存性の高い薬ということもあって簡単に処方されないのが一般的です。
私は運良く処方できる医師だったのですが、
最初は処方を渋られましたし「27mgを試してみたい」とお願いしても「増やす必要ない」とあっさり断られました。
このように、ADHDで生きづらいのに希望であるコンサータを服用できないケースがあるということは事前に知っていただけたらと思います。
さてここまで長くなりましたが、ようやく本題に入りたいと思います。
私が感じたコンサータの効果
コンサータは主に不注意や衝動性に作用する薬で、
集中力を高めて落ち着ついて行動できるような効果が期待されています。
初めての服用から3年ほど経過し、これまで飲んできて感じた効果は以下の通りです。
- 仕事中に寝なくなった
- 頭の中がスッキリ、クリアになった感覚
- 物事の切り替えが出来やすくなった
- 衝動的な間食が減った
それぞれについて書いていきます。
仕事中に寝なくなった
これだけ聞くと「仕事中に寝るのヤバくない?」と思う方もいるでしょう。
しかし発達障害を抱える人の大半が睡眠の悩みを抱えているようです。
しっかり睡眠を取っているのにも関わらず、授業中や仕事中に
- ウトウトして集中できない
- 寝てしまう
といったことは私たちにとっては普通です。
この「しっかり睡眠をとっているのに日中眠い」というところが悩みポイントなんですよね
私も学生時代は授業中ずっとウトウトして全く聞いておらず、内容を覚えてない・板書もほとんど書けないまま授業が終わったことがザラにあります。
そんな私がコンサータを飲んだ日は、
仕事中もハッキリとした意識を保つことができてウトウトせず起きていられるようになりました。
仕事に取り組みたいのに眠気が邪魔してきてミスが増えることによく悩んでいたので、
ナルコレプシーの薬と同じ成分なだけあって仕事中の眠気が飛んでくれる効果には本当に助かりました。
学生時代に飲んでたら授業中に寝ないで集中して受けられたんだろうな…
頭の中がスッキリ、クリアになった感覚
不注意優位ADHDに多いとされる妄想癖があり、日頃から常に考え事や妄想をしていて思考フル回転状態です。
そんな忙しい頭の中が、コンサータの効果が効いている間は割と静かになっていることにも気づきました。
いつもなら急に考え事を始めたり脳内で勝手に連想ゲームが始まるのですが、それが目立たなくなったように感じました。
またストラテラでは感じたことがない頭が冴えているような感覚で、薬が効いている証拠なのかもしれません。
ADHDの脳内は常に考え事をしている&モヤモヤがかかった状態なんですね
物事の切り替えが出来やすくなった
ADHDは特性上、物事への切り替えが難しいとされています。
興味があることに関してはよく考えずに衝動的に行動できることが多いんですが、苦手なことや面倒なこと等は別。
頭では「やらなきゃ…」と分かっていても、モタモタして行動に移せない状態です。(先延ばし癖、後回し癖が発動している感じ)
私の場合、買い出しにいかなければならないときでも外に出ることが苦手だからか、ちょっと出るだけでも準備にかなり時間がかかっていました。
それがコンサータの効果が効いている間は、
「行こう」と思ったらすぐ行動に移せる確率が上がったように感じました。
個人的にはテキパキ動ける感覚で、
これまで買い出しに家を出るまでに時間が掛かっていたのが体感で3〜4倍早く家を出れました。
普段からモタモタしてしまっているのが、目的に向かって余計な行動をせず無駄な動きが減ったとも言える
衝動的な間食が減った
コンサータの副作用で食欲がなくなると言われていますが、実際に服用していて私もそうだと感じました。
私は衝動性や我慢の効かなさから「お腹は空いていないのに何かしら口にしてしまう」ことが多いです。
次の日の楽しみにとっておこうと買っておいたお菓子を何も考えずに食べて後悔することがよくありました。
それがコンサータの効果が効いているときは間食が大幅に減って、お菓子の減りが遅いことに気づき自分でも驚きました。
これに関して痩せる効果に期待している方もいるみたいですが、ADHD特性で困っている人のための薬なのでダイエット目的で飲まないようにしてくださいね。
私の場合はコンサータ服用前後で体重は特に変化無しです
期待していたけど効果がなかったこと
コンサータが不注意や衝動性に作用すると言われている通り、私が実際に感じた効果は不注意や衝動性に関係するものでした。
なのでその特性以外の改善には期待すべきではないのですが、
私としては「この特性・症状が改善緩和されたら良かったのにな…」と思ったことを書いていこうと思います。
聴覚情報処理障害(APD)
声が飛び交っている・雑音下で聞き取りが困難になる症状。
発達障害の人に併発することが多い。
大半の人の場合、
大勢の声が飛び交っている騒がしい場所でも
『カクテルパーティー効果』が働いて隣の人の会話を聞き取れるそうなのですが、
私は生まれつきその効果が全く働きません。
私としてはこの症状の改善を期待していたのですが、特に改善された感覚は全くなく今まで通り聞き取れないままでした。
この症状自体がまだ研究中で原因が特定できていませんが、
個人的には「注意散漫になりやすい特性が声を拾いにくくしているのかな」と感じているので「少しくらいは聞き取り困難を緩和するのではないか」と思っていたんですよね。
この症状が改善されたら出来る仕事の幅がかなり広がるんですよね…
感覚過敏
ASD特性の感覚過敏ですが、これも全く改善は見られませんでした。
コンサータはあくまでADHDの改善薬なので、
それを考えるとASD特性の感覚過敏が緩和することは最初から期待すべきではなかったかもしれないですね。
情報源によっては「ADHDにも感覚過敏がある」と言われていますが、私が診断を受けたときの医師は「ADHDに感覚過敏はない」とおっしゃっていました。
ただその話を聞いたのがコロナ禍になる前なので、今だと情報が更新されたのかもしれません。
「ADHDだけど感覚過敏がある」という人は、もしかしたら気づいていないだけでASDも併発している可能性がありますね
個人的に感じたコンサータのデメリット
得られた効果について書いていきましたが、
ここからは服用していて感じたデメリットを書いていきます。
人によってはデメリットとまではいかない内容かと思いますが、参考程度にご覧いただければと思います。
休薬日がだるい、眠すぎてしんどい
私が感じた最大の欠点はこれにつきます。
特にコンサータを飲む機会が多いと感じやすく、
- 平日週5日連続で服用
- 土日2日を休薬日
とすると、土曜日は思考が回らないほど眠すぎて布団から起き上がれないほど。
副作用や反動が強いので休日はほとんど寝て過ごすことになるのがかなりしんどいです。
理想としては
- 2日服用→1日休薬→2日服用→1日休薬
- 服用を週3〜4日に抑える
などができたらまた違うと思うのですが、
仕事の稼働日を考えるとそれができないケースが多いですよね。
コンサータを飲まないと仕事にならないから飲んでいるのに、
服用の反動で貴重な休暇をほとんど睡眠だけで消化してしまったこともあります。
働いている間はそれが続くので、
一時期は「何のために働いてるんだろう」とかなり病んでいました
ASD特性が強調される
ADHDとASDは別の障害ですが、
両方とも不注意特性に当たる妄想・空想癖があります。
ただ同じ症状というわけではなく、
この妄想・空想癖はADHDとASDで発動する条件が異なるのが面白いところなんですよね。
ADHD→話を聞く気はあるけど集中して聞き続けられない。
会話の中のワードから連想を始めてしまい、途中から話を聞いていない。
ASD→興味のない話は最初から聞く気がない。
話は聞いていることもあるけど、自分の好きな世界の空想を優先してしまう。
不注意に効くコンサータですが、
私の場合はADHDの妄想癖(連想ゲーム)に関しては緩和されて話を聞き続けられるようになった気がしますが、
ASDの妄想癖(ファンタジーに浸る空想)は改善されませんでした。
また過集中の特性はADHDだけでなくASDにもあるので、過集中に関しても完全に改善はされませんでした。
私は普段から過集中が発動するので、
何か集中しているところで声をかけられたり邪魔をされるとイラッとすることが多々あります。
「ASDはマイペース」と言われるように、私も自分のペースを乱されることがすごい苦手なんですよね。
(人によってはパニックになるらしい)
それがコンサータによって切り替えがしやすくなったからか、仕事や作業を遮られてもそこまで動揺しなくなった気がします。
(気がするだけかもしれない)
私の場合はむしろADHDの『気が散りやすい』特性が過集中になりにくくしてくれていたところもあるので、
コンサータが効いている間は仕事や作業に集中しすぎてこまめに休憩を取らず、いつも眼精疲労に苦しむことが多いです。
これらに関してあくまで私が感じたことなので絶対ではないかと思いますが、
ASD併発型の人は妄想・空想癖や過集中が改善しないことがあるかもしれません。
過集中のように、ADHDとASDを併発しているとADHD特性がいい感じに緩和してくれてることもあるみたいですね。
おわり
以上、私がコンサータ服用で感じたことでした。
私の所感ですが、ADHD単体とASD併発の人とで効果に差があるかと思いました。
障害の特性にも薬の効果にも個人差があることを踏まえて参考になれば幸いです。
仕事がある日は絶対に服用しているので、将来的にはコンサータを飲まなくても出来るような仕事がしたいですね